カウンセラーを配置する治療施設は徐々に増えてきていますが、まだまだ十分とは言えません。日本では、「治療施設と産科が別」というスタイルがほとんどで、治療施設と産科の連携が上手く取れていない現状です。治療施設は、妊娠10週ほどで卒業しなければなりません。カウンセラーとして、卒業後も継続して患者さんとお会いすることがほとんど出来ないシステムに、とても残念な思いを抱き続けていました。

 

妊娠された患者さんから、「妊娠後の不安を聴いてもらいたいけど、治療中の患者さんの気持ちを考えると、おなかを大きくしてクリニックに来られないですよね」 「赤ちゃんの成長を報告していきたいけど、卒業するともうお会い出来ませんよね」 という声が届いており、また、妊娠に至らず卒業された患者さんからは、 「治療を止めたけど、もう1回トライすれば授かるかも、という迷いがある。その胸の内を話しに来たいけど、クリニックに足を踏み入れてしまったら、戻りたい気持ちが強くなるから来られない」 「ふたりの人生もありだと自信を持っていたけど、現実厳しい社会があり、その息苦しさを話したい」、さらに、転院した患者さんからは、 「転院先にカウンセラーがいない。これまでの自分を知っているカウンセラーと話しを続けて行きたい」、などの声も届いており、治療施設を離れた後の継続的な関わり・支援の必要性を実感しました。

 

不妊治療の経験は、どんなかたちで治療施設を卒業しても、消える・消し去るということは難しく、何かのきっかけで、その時のネガティブな感情が大きく表出することもあります。そして、妊娠=ゴールではありませんし、必ずしも「妊娠=幸せ」とも言えません。当研究所は、治療後に生じた感情の変化や出来事を聴いてもらいたい、共有してもらいたい、という患者さんのニーズにも対応出来る 「戻れる場所・振り返られる場所・立ち寄れる場所」作りも目指していきます。どうぞ、ご利用下さい。